研究プロジェクト:脳神経科学の発展が責任実践に与える影響の哲学的・倫理学的考察

三菱財団人文科学研究助成(研究代表者)(2010/10-2014/3)

概要

脳神経科学の進展によって、自由意志と責任をめぐるわれわれの社会実践には、さまざまな問題が生じうる。本研究は、今後起こりうる社会政策論争に先立ち、脳神経科学が責任実践にどのような影響をもたらすのかという問題の全体像を明らかにすることを目的とする。

本研究は、個別的な問題と一般的な問題の両側面から、この問題に取り組む。個別的な問題としては、まず、責任能力の評価や刑罰の妥当性などをめぐって、脳神経科学の進展が司法制度にどのような議論をもたらすかを、倫理学的な観点に加えて、法学的観点や科学史的観点を取り入れて考察する。さらに、教育や消費行動など、脳神経科学研究が社会実践に影響を与えうるその他の問題領域について、今度生じうる問題を明らかにする。

一般的な問題としては、意志決定のメカニズムにかんする脳神経科学研究が、自由意志は存在するかという古典的な哲学の問題に、どのような展開をもたらすかということを考察する。

活動

11月16日、17日に東京工業大学で開催される科学技術社会論学会で、ワークショップ「サイコパスの神経科学とその社会的含意」を開催しました。プログラムについては、こちらをご参照ください。

2013年7月13日に、南山大学社会倫理研究所懇話会で「悪は病気か?そうだとしたら、それは何を意味するのか?」という講演を行いました。

本研究の一部として、2011年5月よりシリーズ懇話会「脳科学が社会を変える?」を開催しました。

2011年7月15日(金)に、第3回懇話会「シャブにハマるのは悪いヒトか?ー薬物依存から見える人と社会」を開催しました。詳細はこちらをご覧ください。

2011年7月2日(土)に、第2回懇話会「脳神経科学実験によって、政治行動の何がわかるか」を開催しました。詳細はこちらをご覧ください。

2011年5月20日(金)に、第1回懇話会「うつ病は脳の病気か、心の病気か」を開催しました。詳細はこちらをご覧ください。